就労支援A型事業所を利用してみたいと考えていても、「お金はかかるのか」「利用料が高かったら続けられるか不安」と考える方も多いのではないでしょうか。
就労支援A型の利用料は多くの場合は無料ですが、すべての方が一律で無料になるわけではありません。
収入や世帯の状況によっては一部負担が発生することもあります。
この記事では、就労支援A型の利用料の仕組みや、自己負担が発生するケース、利用料以外でかかる費用の種類などを解説します。
就労支援A型の利用料ってかかるの?
就労支援A型を利用したいと思っても、「お金はかかるの?」「無料で使えるの?」と、費用に関して不安を抱く方は多いです。
最初に、A型事業所の利用料がどのように決まるのか、無料で利用できる条件や自己負担が発生するケースについて詳しく紹介します。
基本的に多くの人は“無料”で利用できる
就労支援A型の利用料は、基本的に無料です。
これは、障害者総合支援法に基づいた公的サービスであり、国や自治体からの補助によって運営されているためです。
つまり、利用者が直接事業所にお金を払って働くという仕組みではありません。
A型事業所と雇用契約を結び、働いた分の給与をもらいながら、サービスを受けるという形になります。
ただし、無料で利用できるのは、あくまで条件を満たしている場合です。
世帯の所得や扶養状況によっては、月ごとに少額の自己負担が発生する場合もあります。
自己負担が発生するケースもある
就労支援A型の自己負担が発生するかどうかは、主に世帯の収入で判断されます。
たとえば、本人に一定以上の所得があったり、同居している家族(特に配偶者や親)の所得が高かったりする場合は、サービス利用料として1割負担が求められることがあります。
具体的な例としては以下のようなケースです。
- 世帯の所得が一定基準を超えている
- 高額所得世帯(約年収300万円以上)に該当する
- 市町村の判定で上限月額が設定されていない
ただし、1割負担は月ごとの上限額が定められており、サービスを利用しても、上限額以上の金額を支払うことはありません。
利用料が決まる仕組みをわかりやすく解説
就労支援A型の利用料は、障害福祉サービス費の自己負担として定められています。
これは、自治体が利用者や世帯の所得情報をもとに判定を行い、負担の有無を決める仕組みです。一般的な基準は以下の3区分に分かれます。
- 生活保護世帯:利用料0円(無料)
- 市民税非課税世帯:利用料0円(無料)
- 市民税課税世帯:所得に応じて月上限9,300円~37,200円
利用開始前には自治体が正式に負担上限額決定通知書を発行するため、自分の負担額を確認しておきましょう。
利用料以外でかかる可能性がある費用もチェック
就労支援A型は基本的に利用料が無料ですが、実際に通い始めると、思わぬところで費用がかかるケースもあります。
ここでは、昼食代や送迎費、作業着や通勤費など、利用料以外で発生する可能性がある費用について紹介します。
昼食代や送迎費などの実費負担
就労支援A型の利用料は無料でも、別途実費負担が発生する場合があります。たとえば、事業所で提供される昼食代や送迎サービスの費用などです。昼食を事業所で頼む場合、1食あたり数百円ほどかかることが多いです。また、送迎サービスがある場合でも、ガソリン代や維持費の一部を負担する事業所もあります。しかし、自分でお弁当を持参したり、公共交通機関で通勤することで、費用を抑えることも可能です。
作業着や通勤費などの個人負担
A型事業所によっては、作業着や制服、安全靴などの購入が必要になることがあります。
これらの費用は自己負担となる場合が多いですが、貸与してもらえる事業所もあります。
また、通勤費についても、基本的には自己負担です。
ただし、事業所によっては交通費補助が支給されるところもあるため、面接時に確認しましょう。
さらに、交通費補助を月上限1万円程度まで支給してくれるケースもあるため、事前に条件をチェックしておくことが大切です。
医療費や生活費は別途サポート制度を活用
就労支援A型を利用している間も、生活費や医療費などの支出は発生します。
しかし、これらは就労支援A型の利用料とは別の扱いです。
経済的な負担が大きい場合は、自治体の福祉制度や助成制度を活用しましょう。
たとえば、医療費については自立支援医療(精神通院医療)制度を利用することで、医療費の自己負担が1割に軽減されます。
また、生活費が厳しい場合は、生活保護や障害年金、自治体独自の福祉給付金などを組み合わせて利用することで、安定した生活を送りながら働くことが可能です。
費用の心配がある方へ|助成や減免制度を上手に活用しよう
「収入が少ないから続けられるか不安」「自己負担が発生したらどうしよう」と心配な方も多いでしょう。
ここでは、就労支援A型を安心して利用するために知っておきたい、助成や減免制度の仕組みについて紹介します。
自治体の「上限月額制度」で安心
就労支援A型の自己負担には、上限月額制度という仕組みがあります。
これは、どれだけ長時間サービスを利用しても、一定額を超える自己負担は発生しないという制度です。
たとえば、所得区分が「市民税課税世帯」であっても、上限額が設定されていれば、それ以上の費用を支払う必要はありません。
この仕組みにより、経済的な不安を感じることなく、安心してA型事業所を利用できるでしょう。
減免制度や生活保護受給者は無料で利用可能
生活保護を受給している方や、市民税が非課税の世帯に属している方は、利用料が無料になります。
また、所得が少ない世帯に対しては、自治体の判断で減免制度が適用されることもあります。
たとえば、生活保護を受けていることを証明する書類の提出や、市民税が非課税であることを確認できる証明書の提示が必要です。
また、減免制度の対象となるかどうかは自治体によって基準が異なるため、収入や世帯構成などをもとに個別に判断されます。
利用を検討している場合は、まずは自治体に相談してみましょう。

まずは市区町村や事業所に相談を
利用料や助成制度は、自治体によって細かい部分が異なります。そのため、「自分の場合はいくらになるのか」「減免制度を受けられるか」は、自治体に直接確認しましょう。
また、就労支援A型事業所の職員も、制度に詳しいスタッフが多く、申請のサポートをしてくれる場合もあります。
安心して働き続けるためにも、早めに相談しておくことが大切です。
まとめ
就労支援A型の利用料は、ほとんどの人が無料で利用できる仕組みです。
ただし、世帯の収入や状況によっては自己負担が発生する場合もあります。
就労支援A型では上限月額制度や減免制度などの公的サポートがしっかり整っており、費用面での心配を減らしながら働くことが可能です。
市区町村や事業所に相談し、自分に合った制度を確認してみましょう。