「就職困難者」という言葉を聞いて、「仕事がなかなか見つからない人のこと?」「障害がある自分も該当する?」と疑問に思う方もいるでしょう。
雇用保険における就職困難者は、単に就職活動が難航している人を指すものではありません。法律上の一定の条件に該当する人について、基本手当の所定給付日数を手厚くする仕組みがあります。
ここでは、就職困難者の条件や障害者との関係、認定手続き、失業保険、利用できる就職支援について紹介します。
就職困難者とは?意味と該当する条件
まず理解しておきたいのが、「一般的に就職が難しい人」と雇用保険制度上の「就職困難者」は必ずしも同じではないという点です。
就職困難者とはどのような人?
雇用保険法では、厚生労働省令で定める理由によって就職が困難な人について、通常とは異なる所定給付日数が設定されています。
つまり、「応募しても採用されない」「長期間仕事が決まらない」といった事情だけで、自動的に就職困難者になるわけではありません。
就職困難者に該当する主な人
雇用保険法施行規則では、就職困難者として身体障害者、知的障害者、精神障害者などが定められています。このほか、更生保護の対象となる一定の人や、社会的事情によって就職が著しく阻害されている人も対象に含まれます。
「仕事が見つからない人」と「就職困難者」の違い
就職活動が長期化していることと、制度上の就職困難者に該当することは分けて考える必要があります。
就職困難者に当たるかどうかは、本人の感覚や失業期間の長さだけではなく、法律上の条件や障害の状況などをもとに確認されます。
就職困難者かどうかは誰が判断する?
雇用保険の受給手続きはハローワークで行います。自分が対象になるかわからない場合は、自己判断せず、障害者手帳などの確認書類を持参して相談することが大切です。
障害がある人は就職困難者になる?障害別の考え方
障害のある人は、就職困難者に該当する代表的な対象です。ただし、障害の種類や状態によって確認方法が異なります。
身体障害がある場合
障害者雇用促進法上の身体障害者は、就職困難者の対象として定められています。身体障害者手帳を持っている場合は、雇用保険の受給手続きの際に持参しましょう。
知的障害がある場合
知的障害者も対象です。療育手帳など、障害の状況を確認できる書類が重要になります。
精神障害がある場合
精神障害者も就職困難者の対象に含まれています。精神障害者保健福祉手帳を持っている場合は、受給手続きの際に提示します。
うつ病の場合は就職困難者になる?
障害者雇用促進法上の精神障害者には、一定の条件を満たすうつ病なども含まれます。厚生労働省の資料では、そううつ病(そう病・うつ病を含む)などについて、症状が安定し就労可能な状態にある人が示されています。
そのため、病名だけで判断するのではなく、実際の状態を含めてハローワークで確認する必要があります。
発達障害の場合は対象になる?
障害者雇用促進法では、障害者の定義に精神障害として発達障害が含まれています。
ただし、診断があるだけで一律に就職困難者と判断されるとは限らないため、個別の確認が必要です。
障害者手帳がなくても就職困難者になることはある?
「手帳がないから絶対に対象外」とは限りません。精神障害などでは、状況によって診断書や意見書などの提出を求められる場合があります。実際にハローワークの障害者相談窓口でも、相談内容に応じて主治医の診断書や意見書の提出を求める場合があると案内されています。
手帳を持っていない場合は、必要な書類を事前にハローワークへ確認すると安心です。

就職困難者の認定手続きと失業保険の給付条件
就職困難者に該当する条件と、失業保険を受給するための条件は別に考える必要があります。
就職困難者として確認してもらう流れ
離職後、ハローワークで求職申込みと雇用保険の受給手続きを行います。その際、離職票などに加え、障害者手帳や必要に応じて診断書等を提出し、就職困難者への該当について確認を受けます。
手続きに必要になる主な書類
一般的には、離職票、本人確認・マイナンバー確認に必要な書類、本人名義の口座情報などが必要です。就職困難者に該当する可能性がある場合は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳なども持参しましょう。
就職困難者になると失業保険の給付日数はどう変わる?
就職困難者は、一般の離職者より所定給付日数が手厚く設定されています。
| 離職時の年齢 | 被保険者期間1年未満 | 被保険者期間1年以上 |
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
年齢は給付日数に関係する?
関係します。被保険者期間が1年以上の場合、45歳未満は300日、45歳以上65歳未満は360日です。
つまり年齢は「就職困難者になる条件」というより、就職困難者となった人の給付日数を決める要素の一つです。
雇用保険の加入期間は給付日数に関係する?
加入期間も重要です。就職困難者の場合、被保険者期間が1年未満なら150日、1年以上なら年齢に応じて300日または360日となります。
自己都合退職・会社都合などの離職理由は関係する?
離職理由は就職困難者への該当条件とは分けて考えます。一方、雇用保険では離職理由によって給付制限などが変わる場合があります。
たとえば正当な理由のない自己都合退職では、一定期間の給付制限が設けられる場合があります。
就職困難者でも失業保険を受給するには条件がある
就職困難者に該当すれば、自動的に基本手当を受け取れるわけではありません。
基本手当は、働く意思と能力があり、求職活動を行っているにもかかわらず就職できない場合に支給される制度です。
就職困難者が利用できる就職支援や制度
再就職に不安がある場合は、失業保険だけでなく、自分の状態に合った就職支援を活用することも大切です。
ハローワークの職業相談・求人紹介
ハローワークでは、仕事探しや求人紹介、障害の状況に応じた相談などを受けられます。障害のある人向けに専門窓口を設けているハローワークもあります。
障害者向けの専門的な就職支援
障害特性や必要な配慮を整理しながら、自分に合った仕事を探す支援も利用できます。就職経験が少ない人や、職場でどのような配慮をお願いすればよいかわからない人も相談できます。
職業訓練を利用してスキルを身につける方法
すぐに応募するのではなく、職業訓練などを利用して仕事に必要な知識やPCスキルを身につけてから就職を目指す方法もあります。
一般企業への就職を目指すなら就労移行支援も選択肢
一般企業で働くことを目指しているものの、就職活動や働く準備に支援が必要な場合は、就労移行支援も選択肢です。
就職に必要な訓練や就職活動の支援などを受けながら、一般就労を目指します。
すぐに一般就労することが不安なら就労継続支援A型
「ブランクがあるので、いきなり一般企業で働くのは不安」「支援を受けながら働く経験を積みたい」という場合は、就労継続支援A型という選択肢もあります。
A型では事業所と雇用契約を結び、支援を受けながら働きます。実際の仕事を通して生活リズムやPCスキル、継続して働く力などを身につけ、将来的な一般就労を目指すこともできます。
自分の状態に合った支援を選ぶことが大切
就職困難者だからといって、全員が同じ支援を利用する必要はありません。
障害の状態、働ける時間、これまでの就労経験、将来の希望によって適した働き方は異なります。ハローワークや就労支援機関へ相談し、自分に合った方法を検討しましょう。
まとめ|就職困難者の条件と失業保険の条件を分けて考えよう
就職困難者とは、単に「仕事が見つかりにくい人」を意味するものではなく、雇用保険制度上、身体障害者・知的障害者・精神障害者など一定の人が対象となります。
また、就職困難者への該当条件と失業保険の給付条件は別です。就職困難者と確認された後も、年齢や雇用保険の被保険者期間などによって給付日数が変わります。
「自分は対象になるのかわからない」という場合は、まずハローワークで確認しましょう。そして、すぐに一般企業で働くことに不安がある場合は、就労移行支援や就労継続支援A型なども含め、自分に合った働き方を探すことが大切です。