「A型就労支援はよく聞くものの、実際にはどんな場所?」「自分も利用できる?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
就労継続支援A型事業所は、障がいや病気を抱える方が、雇用契約を結びながら働くための支援を提供する場所です。
作業をするだけではなく、一般企業で働くためのスキルを身につけ、自立した生活を送ることを目指します。
しかし、その具体的な仕組みや働き方、給料など、気になることは多いでしょう。
この記事では、A型就労支援の基本情報から、利用できる人の条件、気になる給料や待遇まで、詳しく解説します。
A型就労支援ってどんなところ?
就労継続支援A型事業所は、一般企業での就労が困難な障がいや難病を抱える方が、雇用契約を結んだ上で働く場所です。
利用者は「労働者」として扱われ、最低賃金以上の給料が支払われることが特徴です。
就労の機会を提供するだけではなく、職業訓練や生活サポートを通じて、一般企業への就職もサポートしてもらえます。
A型事業所の基本ルール
A型事業所は、国が定めた障害者総合支援法に基づいて運営されています。
そのため、労働基準法が適用され、利用者(働く人)は最低賃金以上の賃金が保証されることが特徴です。
また、雇用契約を結ぶため、事業所と利用者にはそれぞれ権利と義務が発生します。
例えば、利用者は定められた就業規則を守る必要があり、事業所は適切な労働環境を提供し、給料を支払わなければなりません。
さらに、週あたりの労働時間や休日は、個々の体調や能力に合わせて設定されることが多いです。そのため、無理なく働くことができる環境が整っています。
B型との違いをざっくり解説
就労継続支援には、A型の他にB型がありますが、この2つの大きな違いは「雇用契約の有無」です。
A型は雇用契約を結び、最低賃金以上の給料が支払われます。
労働者としての権利が守られ、社会保険の加入も可能です。
一方、B型は雇用契約を結びません。労働の対価として「工賃」が支払われますが、最低賃金の保障はありません。
B型は、体調や障がいの特性から決まった時間働くことが難しい方や、自分のペースでゆっくりと作業を進めたい方向けのサービスです。
A型で働くのが難しい方が、B型から始めることも少なくありません。
利用者にとってのメリットと注意点
A型就労支援のメリットは、安定した収入を得ながらスキルアップできることです。
最低賃金が保障されているため、経済的な自立のサポートにつながります。
また、同じような状況にある仲間と働くことで、孤立感を感じにくく、精神的な安定にもつながるでしょう。
しかし、雇用契約を結ぶ以上、休むことが続いたり勤務態度が著しく悪かったりすると、解雇される可能性もある点に注意が必要です。
あくまでも「働く場所」であるため、責任を持って仕事に取り組まなければなりません。
A型就労支援はどんな人が利用できる?
A型就労支援は、誰でも利用できるわけではありません。
法律で定められたいくつかの条件を満たす必要があります。
- 障がい者手帳を持っている、または医師の診断書や定期的な通院がある
- 年齢が原則18歳以上65歳未満の方(自治体によって異なる)
- 一般企業での就労が難しかった方
「一般企業での就労が難しい」という判断は、過去に就労経験がある方や、現在就労しているものの困難を抱えている方など、個々の状況によって異なります。
具体的な条件については、市区町村の障がい福祉窓口や、相談支援事業所で相談しましょう。
何年くらい働けるの?
A型事業所で働く期間に明確な上限はありません。利用者の状況や希望に合わせて、働き続けられます。
数年かけてスキルを身につけ一般企業への就職を目指す方、A型事業所で長く働き続けることを選択する方もいます。
A型事業所は、あくまでも就労のための「支援」を提供しているため、最終的な目標は一般就労への移行ですが、強制されるものではありません。
クビになることってあるの?
雇用契約を結んでいる以上、解雇される可能性もあります。
例えば、無断欠勤が続く、協調性がなく他の利用者に迷惑をかける、事業所の規則に著しく違反するといったケースです。
しかし、一般企業のように簡単に解雇されるわけではなく、事業所側も利用者の障がい特性を理解したうえで、改善を促すための支援を受けます。
解雇になる前に、話し合いの場が設けられることが多いです。
A型就労支援の給料・待遇・働き方
A型就労支援の利用を検討するうえで、給料や待遇は気になる点のひとつでしょう。
ここでは、具体的な給料の目安や、社会保険、有給休暇の有無などについて紹介します。
気になる給料の目安
A型就労支援事業所の給料は、各地域の最低賃金以上と定められています。
全国平均では月額8万円前後が目安とされていますが、あくまでも平均です。
実際の給料は、事業所の種類や仕事内容、勤務時間、地域によって大きく異なります。
例えば、都市部では最低賃金が高いため、給料も高くなる傾向にあります。

社会保険や有給休暇はある?
A型事業所は雇用契約を結ぶため、一般企業と同じように社会保険(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)の加入対象です。
ただし、加入条件は各保険によって異なります。
例えば、雇用保険は週の労働時間が20時間以上など、定められた条件を満たさなければなりません。
有給休暇も、雇用契約を結んでから6ヶ月以上勤務し、所定の労働日数の8割以上出勤していれば付与されます。
生活を支える制度もある
A型就労支援は、給料以外にも様々な経済的なサポートがあります。
例えば、A型事業所に通うための交通費を一部負担する制度や、就労に必要な被服や道具を支給してくれる事業所もあるため、事前に確認してみましょう。
また、障がい年金や生活保護など、他の公的支援制度と併用できる場合もあるため、自分の状況に合わせて利用できる制度を調べることが大切です。
まとめ
A型就労支援は、障がいや病気のために一般企業で働くのが難しい方が、安定した収入を得ながら社会参加できる重要な場所です。
雇用契約を結ぶため、給料は最低賃金以上が保証され、社会保険や有給休暇といった待遇面も整備されています。
しかし、雇用契約を前提とするため、責任をもって働く姿勢も求められます。
働くことに意欲があり、社会復帰を目指したい場合は、A型就労支援は重要な選択肢のひとつです。
まずは、地域の障がい福祉窓口や相談支援事業所に相談し、自分に合った働き方を見つけることから始めてみましょう。